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行動原理について
唯幻論岸田 人間は本能が壊れた動物であり、現実に適合するために本能の代わりとして幻想を必要とします。人間とは、幻想する動物であるという考え方で、唯物論をもじって唯幻論と名づけました。
(新世紀への提言より)http://www.nagano-cci.or.jp/tayori/692/ts_692.html
わたしは史的唯幻論という説を唱えている。ソ連の崩壊などで今や放棄されたかに見える史的唯物論がまだ多くの人たちに普遍的真理であるかのように信じられていた頃、物質的経済的条件で歴史を説明していたこの理論に対抗して、歴史を動かす最大の要因は幻想であるというわたしの考えをいくらかふざけて、そして実は大まじめにそのように命名したのである。(二十世紀を精神分析する)
二十世紀を精神分析する二十世紀を精神分析する
一、史的唯幻論
わたしは史的唯幻論という説を唱えている。ソ連の崩壊などで今や放棄されたかに見える史的唯物論がまだ多くの人たちに普遍的真理であるかのように信じられていた頃、物質的経済的条件で歴史を説明していたこの理論に対抗して、歴史を動かす最大の要因は幻想であるというわたしの考えをいくらかふざけて、そして実は大まじめにそのように命名したのである。
岸田秀の肩書きについてhttp://www.nagano-cci.or.jp/tayori/692/ts_692.html
― 『ものぐさ精神分析』をはじめ、先生の著書を拝見すると、目から鱗が落ちるような知的刺激を感じます。インタビューのはじめに、先生が唱えられる唯幻論について、簡単にご説明をいただけますか。
岸田 人間は本能が壊れた動物であり、現実に適合するために本能の代わりとして幻想を必要とします。人間とは、幻想する動物であるという考え方で、唯物論をもじって唯幻論と名づけました。論として活字にするずいぶん以前から、私の中に「世間のことはすべて幻だ」という漠然とした感覚がありました。とりたてて新味のないありふれた考え方だろうと訝っていたので、編集者が興味を示したときには、こちらが驚きました。
― 先生は、人間を自らつくった物語の中だけでしか生きられない動物だと分析され、その論を人間の集団である国家や、その歴史にも展開されていますね。
岸田 私は、これまで精神分析や精神病理学理論を勉強してきました。たとえば精神分裂病の患者について、どんな原因で患ったのか、あるいは、病の過程でどんな心の変化をみせるかについて、さまざまな臨床例を学びました。一般に精神分裂病は、初期段階に被害妄想がみられます。周囲の人間が、自分を憎んでいるのではないか、疎外しているのではないかという感覚です。次の段階では、周囲の攻撃から自分を守るために、自分は強くて偉くて価値ある存在であると周囲に示そうとします。つまり誇大妄想が生じるのです。
被害妄想から誇大妄想に至るこの過程は、何かに似ていないか。たとえば日本の近代史がよい例です。ペリーらの圧力で開国した日本は、明治維新を経て、世界史に例のないスピードで列強に伍し、日清日露の二つの戦争で勝利しました。しかし、その後の日本は列強の中で被害妄想を強くし、果ては誇大妄想をもって真珠湾を攻撃し、太平洋戦争に突入します。当時の日本の集団心理は精神分裂病患者の心理によく似ています。敗戦色が強くなったときの、あまりに非現実的非合理的な作戦行動なども、精神分裂病患者の心理そのものです。
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